アクセスのよさと周辺環境の安全性

寝たきりの方が入居する老人ホームを見学する際は、施設へのアクセスのよさと周辺環境の安全性をチェックすることが大切です。

まず、施設までの交通手段を確認しましょう。

• 電車やバスなどの公共交通機関で行けるか
• 最寄り駅やバス停から施設までの距離
• 送迎サービスの有無

また、施設の立地や周辺環境にも注目が必要です。

• 病院や消防署など緊急時に頼れる施設が近くにあるか
• 買い物や散歩に適した施設や公園などがある

施設へのアクセスと周辺環境が良好であれば面会に行きやすく、入居者も安心して暮らせるでしょう。見学の際はこれらの点を丁寧に確認しましょう。

居室や共有スペースの使いやすさ

老人ホーム見学の際は、居室や共有スペースの使いやすさをしっかりとチェックしておきましょう。

居室では、広さやプライバシーがきちんと確保されているかがポイントです。一人部屋か多人数部屋か、個室内にトイレや洗面台が備わっているかなどをチェックしましょう。また、ベッドや収納スペース、照明、コンセント、エアコンの位置なども要確認です。

共有スペースでは、リビングやダイニングなどがゆったりとした造りで、車椅子でも移動しやすいかどうかがチェックポイント。また、トイレや浴室なども、寝たきりの方が介助を受けやすいよう十分な広さと必要な設備が整っているかをみておきましょう。

1．家族が気軽に面会できる

交通の便がよい場所にある施設であれば、ご家族が遠方からでも気軽に面会に行けます。面会は、ご本人にとってもご家族にとっても心の支えになります。

2．外出や通院がしやすい

病院や買い物施設、公園など、外出したい場所へのアクセスがいいと、入居者の生活が豊かになります。また、通院が必要な場合も、スムーズに病院へ行くことができます。

3．緊急時の対応がスムーズ

何かあったときに、家族や救急車がすぐに駆けつけることができるアクセスのよさは安心につながります。

バリアフリー設計と安全対策

見学の際には、施設がバリアフリー設計になっているか、また安全面での対策がしっかりとられているかをチェックしておきましょう。

• 廊下や居室内の段差の有無
• スロープや昇降機の有無
• 非常口や防火設備の整備状況
• 防犯カメラや警備体制

これらの設備面での対策に加え、事故防止のための職員教育やマニュアル整備なども大切なポイントになります。

寝たきりでも使える設備の充実度

寝たきりの方が入居する際は、特に設備面のチェックが重要です。まず、居室内にナースコールが設置されているかを確認しましょう。寝たきりの方は自力で助けを求めることが難しいため、いつでもスタッフを呼べる環境が必要不可欠です。

次に、ベッドの機能性もチェックポイントです。以下のような機能を備えたベッドがあるとよいでしょう。

• 背上げ・膝上げ機能で座位がとれる
• 高さ調節機能で移乗や介助がしやすい
• サイドレールで転落を防止できる

また、体位変換や移乗の際に使用するリフトなどの福祉用具が充実しているかもポイントです。寝たきりの方の褥瘡予防や安全な介助に役立ちます。

居室の広さとプライバシーの確保

寝たきりの方の場合、ベッドの周りにある程度のスペースが必要です。例えば、ベッドサイドに車椅子を置いたり、ポータブルトイレを設置したりするためのスペースです。居室内に洗面台やクローゼットなどもある場合は、それらとの導線も考慮する必要があるでしょう。

また、オムツ交換時などのプライバシー確保のため、できれば居室内にトイレと洗面台があることが望ましいです。

見学の際は、実際に居室内を見せてもらい、ベッドを中心とした導線を確認しておくことをおすすめします。

栄養バランスと食事形態の対応力

健康維持のためには、バランスのとれた食事が欠かせません。老人ホームでは、カロリー、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどを適切に組み合わせた献立を立てることが求められます。管理栄養士や栄養士が在籍し、個々の入居者の健康状態に合わせて栄養管理を行っているかどうかがポイントです。

また、寝たきりの方など、噛む力や飲み込む力が低下した入居者のために、きざみ食やミキサー食、ゼリー食、ソフト食など、状態に合わせた多様な食事形態を用意しているかも大切なチェック項目です。

寝たきりでも参加しやすいレク活動

寝たきりの方でも楽しめるレクリエーション活動を充実させることは、ストレス発散や生活の充実感を高めるうえで大切です。合唱やアロママッサージ、外部ボランティアによる催し物への参加などがおすすめです。

例えば、外部の音楽団体による演奏会や、地元の伝統芸能の披露などは、視覚や聴覚を通して刺激を与え、楽しみを提供してくれます。また、季節のイベントに合わせた企画なども、入居者の方々に季節の移り変わりを感じさせ、生活に彩りを加えるでしょう。

さらに、入居者の方々が自分のペースで参加できるよう、個別対応やサポート体制が整っているかどうかを確認することも大切です。

家族との交流の機会の充実度

老人ホームに入居しても、家族とのつながりを大切にできるかどうかは重要なポイントです。

まず、面会時間や頻度に制限がないかを聞いておきましょう。急な用事で面会に行けなくなることもあるため、柔軟に対応してもらえるとよいでしょう。次に、居室でゆっくり過ごせるスペースがあるかもチェックします。狭いと家族も居づらく、ゆったり交流できません。

また、家族参加型のイベントが定期的に企画されているかも大切です。一緒にレクリエーションを楽しんだり、食事会に参加したりと家族の絆を深められる機会があるとよいでしょう。施設によっては、家族が宿泊できる部屋を用意しているところもあります。遠方からの面会の際に便利です。

このように、家族との触れ合いを大切にしてくれる施設を選ぶことで、寝たきりになっても安心して暮らしていけるはずです。しっかりとチェックして、ご家族に合った施設を見つけてください。

「私はまだ大丈夫」と仰るご家族の方を、老人ホーム見学に連れ出すのはなかなか難しいかもしれません。
そこで、ご家族が安心して見学できるような、こんなアイデアはいかがでしょうか？

「体験入居」を提案

一泊二日程度の短い体験入居を提案し、実際の生活を体験してもらうことで、施設の雰囲気やサービスを肌で感じてもらいましょう。

ご本人の興味のあるイベントに参加

料理教室や趣味の会など、ご本人が興味のあるイベントが開催されている施設を選び、一緒に参加できないか問い合わせてみましょう。

施設のスタッフとの事前ミーティング

施設のスタッフにご家族の状況を事前にお伝えいただき、見学当日はご家族の不安を解消できるような対応をお願いしておきましょう。

他の入居者の方と交流できる機会を作る

他の入居者の方と話してみることで、施設の雰囲気や生活の様子を具体的に知ることができます。

将来のことを具体的に話す

「もしものとき」に備えて、具体的な話をしてみましょう。例えば「病気で入院したら、誰に面倒を見てもらえるか」など、ご本人が不安に思っていることを具体的に話し合うことで、将来への不安を解消できるかもしれません。

老人ホームの施設スタッフもご事情にあわせて柔軟に対応できる場合があります。まずは気になる老人ホームに気軽な相談から始めてみてはいかがでしょうか？