入居一時金と月額利用料の2種類がある

・入居一時金

入居一時金は、一定期間分の家賃を入居時に一括で支払うお金のことです。毎月かかる費用を抑えられますが、まとまったお金がない場合は入居へのハードルが高くなってしまいます。

入居一時金は、あらかじめ施設ごとに決められた期間で償却されます。償却期間は施設によって異なりますが、一般的には5年～10年程度です。

支払い方法には、全額前払い、一部前払い、月払いなどがありますが、どの方法が経済的に効率がいいかは、その施設の償却期間や償却率にもよります。

・月額利用料

月額利用料は入居後に毎月支払う利用料のことで、居室の家賃や共益費、食費、介護サービス費などが含まれます。こちらも、施設によって金額や内訳は異なります。

要介護度が高くなるほど、介護サービス費が割高になる傾向にあります。介護保険の自己負担分も月額利用料とは別にかかってくるため注意が必要です。

施設・事業所の種類で大きく異なる

老人ホームの入居費用は、施設・事業所の種類によって大きく異なります。一口に老人ホームといっても、介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなど、様々な種類があります。それぞれの施設では、提供されるサービスや設備、入居条件などが異なるため、費用も大きく変わってきます。例えば、介護付き有料老人ホームは食事や介護などのサービスが手厚く、介護度による「定額制」のため介護が多く必要な方にとっては利用しやすい料金体系です。また、特別養護老人ホームは、公的な施設のため入居一時金は不要で、月額利用料も比較的安価です。ただし、原則要介護度3以上から入居可能など、一定の要件を満たす必要があります。

このように、施設の種類によって費用やサービス内容が大きく異なるため、自分のニーズに合った施設を選ぶことが重要です。

立地や設備を吟味する

老人ホームの入居費用を抑えるためには、施設の立地や設備をよく吟味することが大切です。

立地に関しては、都心部など人気エリアの施設は費用が高くなる傾向にあります。少し郊外の施設なら、より安価な費用で入居できる可能性があるでしょう。交通の便がよい立地や、医療機関との連携が充実している施設は、その分費用が高くなる傾向があります。

設備面では、部屋の広さやバリアフリー化の程度などを確認します。必要以上に広い部屋や高級な設備は、その分費用に跳ね返ってきます。ある程度の質を維持しつつ、できるだけシンプルな設備の施設を選ぶことで、費用を抑えられるかもしれません。

ご自身の生活スタイルや優先順位を考慮し、立地や設備とのバランスを考えながら施設を選ぶようにしましょう。

公的介護施設を探す

老人ホームの入居費用を抑えたい場合は、公的介護施設を選ぶのがおすすめです。公的介護施設には以下のような種類があります。

• 特別養護老人ホーム（特養）
• 養護老人ホーム
• 介護老人保健施設
• 介護医療院
• ケアハウス（軽費老人ホームC型）

これらの施設は介護保険制度にもとづき運営されているため、利用者の自己負担額が比較的安く設定されています。例えば、特別養護老人ホームの場合、「居住費」と「食費」は所得や資産に応じて自己負担の上限額を設定し、超過した額を介護保険から補助する仕組みです。

ただし、公的介護施設は入居希望者が多く、入居までに時間がかかるケースが多いのが実情です。施設によっては数年待ちというところもあるため、計画的に準備を進めることが大切です。

公的介護施設への入居を検討する際は、まずは担当のケアマネージャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。希望する施設の空き情報や申込方法など、具体的なアドバイスをもらえるはずです。

近隣エリアの施設も検討する

老人ホームの入居費用を抑えるには、希望する立地から少し外れたエリアの施設も検討対象に入れるのがおすすめです。

例えば、都心部から少し離れた郊外には、自然に囲まれた環境でゆったりと過ごせる施設も多く、都市部と比べて家賃や物価が安い傾向があります。そのため、同等のサービスを提供する施設でも、都心部よりも入居費用を抑えられる可能性があります。

さらに、地域によっては、自治体独自の補助制度が設けられている場合もあります。例えば、高齢者向け住宅の入居費用の一部を補助する制度や、家賃補助制度などです。これらの制度を利用することで、さらに費用を抑えられる可能性があります。

もちろん、施設ごとに設備やサービス内容に違いはありますが、近隣エリアも視野に入れることで、より幅広い選択肢の中から自分に合った施設を見つけられるでしょう。

費用面だけでなく、家族の訪問のしやすさなども考慮しながら、近隣エリアの施設情報もしっかりチェックしてみてください。

介護度に応じた施設を選ぶ

老人ホームを選ぶ際には、まず自身の介護度に応じた施設を探すことが重要です。介護度は8段階に分けられ、数字が大きいほど介護の必要度が高くなります。

自立から要支援2の方は、食事や入浴などの生活支援サービスを受けられる有料老人ホームやサ高住が適しています。一方、要介護1以上の方は、身体介護や生活援助など手厚い介護サービスを提供してくれる介護付き有料老人ホームやグループホームなどを検討しましょう。要介護3以上になると、特別養護老人ホームや医療ケアも受けられる介護老人保健施設・介護医療院への入居が望ましいでしょう。

このように、まずは自身の介護度を正確に把握し、それに見合った施設を選ぶことが肝要です。介護度が上がるほど受けられるサービスも手厚くなりますが、その分費用も高くなる傾向にあります。介護度と予算、希望するサービス内容などを総合的に判断して、最適な老人ホームを見つけていきましょう。