障がい者でも週10～20時間未満での雇用は0.5人としてみなされる

短時間労働は、障がい者就労支援の一環として導入されているシステムです。2024年より改正ルールが適用され、週10～20時間未満の障がい者雇用は0.5人として換算される仕組みに変更されます（体調が安定しにくいと認められた精神障がい者・重度身体障がい者・重度知的障がい者が対象）。現行の法律では週20時間以上のみが障がい者雇用の枠内でカウントされていますので、大きな前進といえるでしょう。

短時間労働が認められることで企業側も障がい者雇用制度を積極的に利用しやすくなり、雇用の形がより広がります。

短時間労働のメリットとは

障がい者の視点から見た短時間労働のメリットは以下のとおりです。

・体力に合わせて無理なく働ける

精神に障がいがあると心身ともにバランスを崩しやすく、長時間労働ではキャパシティを超えてしまう可能性があります。また、心身の不調が短いスパンで表れやすいため、前日までは万全の体調でも朝の段階で突然体調不良に襲われるパターンも少なくありません。

週20時間未満の短時間労働であれば、土日休みと仮定すると1日あたり2～5時間前後の勤務時間として調整できますので、体力や気力に波があっても仕事の負担を軽減できます。

・一般就労そのものをトレーニングできる

短時間労働は、フルタイム勤務への移行段階としても利用可能です。精神障がいが不安でフルタイム勤務に一歩踏み出せない方でも短時間労働からチャレンジすることで仕事の雰囲気をつかみ、慣れた段階でフルタイム勤務に移行できます。企業側の同意があれば短時間労働からフルタイム勤務への切り替えも可能です。

短時間労働のデメリットとは

障がい者の視点から見た短時間労働のデメリットを解説します。

・収入が下がる

短時間労働ではトータルの賃金がどうしても下がります。時給制による給与体系を採用している企業の場合、短時間労働のみで10万円以上の月給を確保するのは難しいのが現状です。

そのうえ、時給制では体調不良や通院などで休んだ日は給与がゼロのため、休みがちな場合は給与体系についてあらかじめ企業側と話し合うことで調整可能です。

・雇用が安定しない

障がい者雇用はもともと雇用が不安定な点が問題視されてきました。特に短時間労働では雇用が不安定化し、3ヶ月前後の短いスパンで雇用が打ち切られるケースが増えると指摘されています。短時間労働での雇用期間中も長期間の雇用継続を見据え、持続的なスキルアップが必要です。