食事動作での機能維持方法s

食事動作は、手指の巧緻性や上肢の筋力維持に効果的です。例えば、箸やスプーンを自分で使って食事をする、お茶碗や湯呑みを自分で持つといった動作を意識的に行うようにしましょう。介助が必要な場合でも、可能な範囲で自分で行うことを促し、機能の維持・向上を目指します。

入浴時の運動機能訓練

入浴時は、温水の中で身体を動かしやすいため、関節可動域の改善や筋力強化に適しています。湯船につかりながら、手足を伸ばしたり曲げたりするストレッチや、タオルを使って身体を洗う動作で上肢の運動を行えます。また、浴槽のへりを使って立ち座りの練習をすることで、下肢の筋力強化にもつながります。

移動時の筋力向上支援

歩行や車椅子での移動時にも、リハビリを意識した行動を採り入れます。例えば、少し長めの距離を歩いたり、車椅子の自走を積極的に行うことで、下肢の筋力維持・向上につながります。また、杖や歩行器などの適切な福祉用具を使用することで、安全に歩行訓練を行えます。

疾患別の食事提供基準

高齢者の多くは、なんらかの疾患を抱えている場合が多いです。そのため、疾患に応じた食餌療法が重要になります。代表的な疾患と食事提供基準は以下のとおりです。

その他にも、脂質異常症、心臓病、アレルギーなど、さまざまな疾患に合わせた食餌療法があります。管理栄養士などの専門家が、個々の状態に合わせて適切な食事プランを作成することが重要です。

咀嚼力に応じた食形態

加齢や病気によって、咀嚼力が低下する場合があります。咀嚼力が低下すると、食事の摂取量が減少し、低栄養のリスクが高まります。また、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。そのため、咀嚼力に合わせた食形態の提供が必要です。

• 刻み食：食材を細かく刻んだ食事
• ミキサー食：食材をミキサーにかけてペースト状にした食事
• ソフト食：食材をやわらかく調理した食事

適切な食形態を選択することで、安全に食事を楽しんでいただけます。

水分摂取管理の重要点

高齢者は、若年者に比べて体内の水分量が少なく、脱水になりやすいです。また、喉の渇きを感じにくくなるため、意識的に水分を摂取することが重要です。水分不足は、便秘、熱中症、脳梗塞などの原因となる場合があります。1日に必要な水分量は、1.5リットル～2リットルといわれています。こまめに水分を摂取する習慣をつけましょう。水分補給には、水やお茶だけでなく、スープやゼリーなども有効です。

体位変換の実施方法

体位変換は、同じ部位に圧力がかかり続けることを防ぎ、血行を促進するために必要です。2時間ごとを目安に、仰臥位、側臥位、腹臥位など、さまざまな体位へ変更します。体位変換の際には、皮膚のズレや摩擦を防ぐように注意深く行います。ご本人の状態に合わせて、無理のない範囲で実施することが大切です。

除圧用具の使用基準

除圧用具とは、体と接触面の間の圧力を分散させることで、褥瘡の発生リスクを軽減する用具のことです。除圧マットレスや除圧クッションなど、さまざまな種類があります。除圧用具を使用することで体圧を分散させ、褥瘡のリスクを軽減できます。ご本人の状態や褥瘡発生リスクに応じて適切な除圧用具を選択します。

皮膚状態の観察ポイント

皮膚の状態を観察することは、褥瘡の早期発見・早期治療につながります。とくに骨の突出している部分（仙骨部、踵部など）は褥瘡が発生しやすい箇所です。皮膚の色、温度、硬さ、湿潤状態などに注意し、発赤、水疱、びらん、潰瘍などの変化がないか確認します。毎日、入浴時や清拭時に全身の皮膚状態を観察することが大切です。

褥瘡の予防は早期発見と適切なケアが重要です。

上記でご紹介した褥瘡予防のための具体的な取り組みを参考に、日頃から褥瘡ケアを心がけましょう。